いつか来る おわりのために




  ―いつか来る おわりのために


  終わり?それって、ご臨終の事?

  何でそんな事考えなきゃいけないんですかねぇ。

  そうだよ、僕ら死ぬ為に生きてるわけじゃないんだし。

  まあまあ、親愛なる従兄弟殿に友よ。僕らもたまにはこむつかしい事を考えてみようじゃないか!

  じゃあ、言いだしっぺが最初に言ってよね。

  え!?僕?それじゃあ、えーと、えーと、そうだなあ、家族とか、友達とかに囲まれて、わいわい騒ぎながら、ってのがいいかなあ。笑いながらころっとね。

  そっかー、大好きな人たちに看取られるのか。それじゃあ僕は、たくさんご馳走を用意して、パーティーをするんだ。もちろん家族や友達・親戚と一緒にね。それで、ああ、もう満足だよ、とか言って幸せに眠るの。

  パーティーか・・確かにしんみりしたのはイヤだなあ。

  じゃ、おらの番ですね。そうですねえ、ダンナがたみたいに家族や友人をよんで、ガーデンパーティーにしたいですね。自分が手入れした、思い出のたくさんある庭で逝けたら、それでいいです。

  庭かあ、そうだよね、君は庭師だもんね。

  でも諸君、ひとつ問題がある。

  何ですか?

  まずは奥さんをもらわないことには自分の家族が持てないよ・・・

  ・・・・

  ・・・・






  ―いつか来る おわりのために


    わたしは一度、終わりを迎えた様な、そんな経験をした。
  心の一部が、 いや、全てをえぐり取られた、そんな様な。
  絶望、 というのは、ああいう事を言うのだろう。
  でも、希望の光が現れた。 とても、大切なものができた。
  今まで守り続けてきたもの。 新たに守りたいと思うもの。
  いつか、終わりが来るその時まで、 私は 精いっぱいの愛を それらに捧げたい。
  私の一番大切な人が そうした様に。






  ―いつか来る おわりのために


    終わり? 来るのかな、私にも。
  少し前なら、そんな事想像もできなかったろうね。
  でも今は違うんだ。 私が終わりを迎えるにはふたつにひとつ。
  どちらにしろ、ね、 もし、そういう時が来るのだとしたら、
  終わる事を悔やむ事が無い様に、 そうなれたら いいのだけれど。






  ―いつか来る おわりの為に


  終わり?何で生きてる内からそんな事を考えなきゃいけないんだ?
  まったく、わからんな。
  よく考えてご覧よ。俺たちみたいな屈強な男が、洞窟の奥でびくびく死ぬのを恐れてるなんて、そんなのは全くもってらしくないと思わんかね!?
  たとえ終わりの日が来ても、俺たちはがっちりと構えて、普段と同じにしているさ。
  ・・・そして、できるならば、自分の最高傑作を大事な人に捧げてから逝きたいと思ってるのだがね。






     ―いつか来る おわりのために


    ある意味、私は一度終わりを迎えたよ。 死んだんだ、一度。
  でも、今はこうしてここにいる。 彼の、願いだから。
  私は、私ができる事を、あいつがしたくてもできなかった事をやり続ける。
  それは私の願いでもあるからね。
  おわり?そうだな、しばらくは来ないでほしいね、今はまだ忙しいから。
  でもいつかは来るんだろうな、私にも。
  その時のために、・・・・ 特別な事はしない。
  私は私のできる事、なすべき事をする。 それだけだ。






  ―いつか来る おわりの為に


  終わり・・。そうさのう。わしに終わりが来るのならば、 それは必然な事なのだろう。
  つまり、わしの死は世界が進行していくのに必要だと、そう思っておる。
  だから特に怖いとかは思わんよ。理不尽、ともな。
  今まで永い時を生きてきた。多くの者と出会い、別れ、見送ってきた。そして、親友と呼べる様な相手に出会うたびに、思うんじゃよ。
  かくも世界はすばらしい。 とね。
  そんな素晴らしい世界の進行に自分の死が必要ならば、よろこんで受け入れよう。それだけの価値がこの世界にはあるからな。
  その時が来るまで、わしはもうしばらくこの世界を楽しんでいるよ。






        ―いつか来る おわりの為に


  終わり?うーん、難しいなあ。そんな事考えた事もないよ。
  そうだなあ・・・あ、そうだ、もし自分に終わりが来るのなら、その時までに本を、書いておきたいです。彼のように。
  僕の養父なんですけどね、昔とってもすごい冒険をした人で、そりゃあとってもとっても面白い冒険話をしてくれたんですよ。眼をキラキラさせながら聞いてましたっけ。
  だから僕もいつか、できれば彼と一緒に冒険の旅に出て、本を書き残したいんです。
  僕がいなくなっても、僕が残した本を誰かが読んで、感動したり、喜んだり、笑ってくれればいいかなあ、って。







  ―いつか来る おわりのために


   おわり?そんないつ来るかもわからない事を考えるなんて、できないな。
  ・・・しかし、こういう時世だ。明日終わりが来てもおかしくはない。
  そうだな・・難しいな。・・・こういう小難しい事はあいつの方が得意なのだが。
  ・・やはりわからない。不器用かもしれないが、私はこういう性分だ。 だが、
  いつかは終わりが来る。それは確かな事だ。
  だから私は、 今日というこの日を精いっぱい生きたい。そう思う。





  
 
あとがき
 後数日で新たな年を迎えるってのに、何て後ろ暗い事をかんがえているのでしょうか?(これ書いたのが2003年末なんです)
 別のSSを書いている時、ボロだかファラ言ったセリフの中の一部が『いつか来るおわりの為に』の様な内容でした。
 それで、このこむつかしい・後ろ暗い問題の答えを、色んな人ヴァージョンで作ってみました。誰に、いつ頃答えてもらっているのか、は内容を見て察していただければ。所詮原作未完読モノですので、このキャラROTKではどうなるんだ!?というのが分からない人に関しては過去、旅の前とかを設定に語らせました。
 ちなみにワタクシ自身の意見としてはボロミアやギムリんと同じな部分が。
 生きてるうちから死ぬ事を考えたくない。で、ゴザイマス。明日の心配は明日しよう!超プラス思考の持ち主ですので。今までの人生、『何とかなるさ』で本当に何とかしてしまった人間ですので。
現実問題として、死ぬまでには倫敦(ベーカーストリートとかビック・ベンとか大英博物館とかハムステッドとか・・最近はアイルランドにも行ってみたくなりました)に行きたいとか、万里の長城をみてみたいとか、世界遺産を何箇所か巡りたい(現時点で2,3?箇所)、ってのはありますねー。
 ま、そんなココロ意気です。
 それでも誰がドレを言っているのかわからない、という方はコチラを反転して下さい。↓
 上から順にホビッツ3人(旅の前)→ファラミア(RotK後)→レゴラス(旅の最中・FotR後)→ギムリ(旅の最中・ロリアン後)→アラゴルン(RotK後)→ガンダルフ(旅の前)→フロド(旅の前)→ボロミア(旅の前)、でございます。   で、今RotK鑑賞後。思いの他合ってた箇所があってびっくり。フロドが本を書き残すとか。何となくフロドならそう考えるんじゃないかなあ、と思って。他にも別のSSですが、陽動作戦でフロドを火口まで行かせる、とか。偶然ってあるんですねー。ああ、でもサムは外れた。愛する嫁さんが亡くなったら愛する旦那と永遠にランデブーに行った(笑)