泣く子には敵わず



「ジョー、そろそろお昼に行こうよ。」

 ロス市警の殺人課で、新人刑事のK.C.・コールデンが相棒のジョー・ギャビランに話しかけた。
「チーズバーガーを頼む。いつものヤツな。」
 不動産情報誌から目を離さずにベテラン刑事は応える。
「えー、またバーガー?そんなジャンクフードばっか食べてどうすんのさ。たまにはどっかのカフェでランチでもしようよ。」
 ぐるぐると回転椅子を回しながら長身のK.C.はブーたれる。
 そんな相棒を横目にジョーは短く息を吐く。
 何が楽しくてクソ暑い土曜の昼を野郎とランチしなくてはいけないのか。

「ねえ、ジョー、僕の知ってる美味しいオーガニック料理の店があるんだ。そこ行こうよ!」
 ぐいぐいとYシャツの袖を引っ張るK.C.。それを完全に無視しているジョー。
 そんな様子を女性署員が通りすがりに見ながら、クスクスと笑っていった。



「・・・・・」
 サングラスの下で思いっきり顔をしかめ、への字口で太陽が照りつける通りを歩くジョー。
 その傍らでシャツの袖をまくり、丸レンズのサングラスをかけてにこにこと鼻歌を歌って歩くK.C.。

 何だかんだ言っても、このベテラン刑事は強引な押しに弱いのであった。
 特にこの相棒には。
 何故だか良くわからない力で結局は今回の様に流されている。

「ホラ、こんなに天気がいいよ。こんな日は外を歩かなくちゃ。」
 サングラスの下からまぶしい笑顔が除く。まるで子供のような無邪気さがそこにあった。
 そんな姿を見ると、たまにはお日様の下をのんびり歩くのもいいかもしれない、と思えるから不思議である。

「・・・そうだな。たまにはいいかもな。」
 眉間のシワがひとつ減って、ジョーはわずかに口の端を持ち上げる。
 それをこっそり見ていたK.C.が、また微笑んだ。

                                                              おわり


あとがき
  ハイ、『ハリ的』DVD発売記念、ということで、ジョー&K.C.でゴザイマス。  泣く子と天然坊やには敵わないジョーで、本人自体も何となくそれが気に入ってるような、悪い気はしないと思ってたりしてほしかったりして。  で、K.C.はベテラン刑事のジョーと友達感覚で付き合えるのがちょっと楽しかったり。微妙に父親を見てたりして。  この2人はコンビで好きですー 擬似親子ー 世代を超えた友情ー  ネット繋がるまでにはもうちっと長いフィクを書くようにします。ええ、まだ続けますわよ☆