決戦前夜

成: さっき、ガント局長の部屋に行ってきた。
御: なっ…どうやって入った?この時期に弁護士が入室できるとは思えない。
成: …ある、刑事さんが、入れてくれた。
御: …そんな事をする愚か者を1人、知っている。
成: お前がさっき書いてた辞表を見せたら、入れてくれたよ。しかも捜査の立会いまでしてくれた。
御: バカな!そんな事をしたら…
成: カクゴはできてるって。実際、捜査の途中で局長に見つかったし。
御: …空いたクチが塞がらないな。
成: お前の為、だぞ。
御: …
成: イトノコ刑事、言ってたよ。最初の頃は、御剣検事は冷たい男だと思ってたけど、今は、我々捜査官の事を信
  じてくれてる、って。
  お前の事信じてるから、クビを覚悟で自分のIDカードを貸してくれたんだ。弁護士の、このボクに。
御: …トコトン、馬鹿な刑事だ。
成: 御剣…
御: 私なんかに、関わるから、こうなるのだ。
   仕事は厳しいし、その割に安月給だし、周りから非難される事だってあるだろう…
成: (給料下げてるのは自分じゃないか。)
御: それで、刑事は今、何を?
成: ガント局長に掛け合ってくるって。
御: 無駄だろうに。
成: 思うんだけど、お前みたいな鬼上司をあそこまで慕ってくれる刑事さんて、他にいないと思うぞ。
御: 鬼とはなんだ、トンガリ弁護士が。
成: ぐっ。トガってるのはムカシからだ!
   …ともかく、明日はイトノコさんのおかげで手に入れたこの証拠品で決着をつけてやる!そして、お前も、イトノ
  コさんも、茜ちゃんも巴さんも、SL−9号事件のギセイになった人達を、救うんだ。
御: 相変わらずタイソウな事を言う。
成: もちろん、ボク1人じゃ無理だ。
御: ?
成: お前の力も、必要だ。
御: ・・・
成: だから、辞表なんて書いてる暇は無いぞ、御剣。
御: フッ。ハッパをかけてるつもりか?
成: え?
御: お前に言われなくても、私は私の職務をマットウする。最初からその覚悟だ。
成: …それを聞いて安心したよ。それじゃあ、明日の準備があるから、帰る。
    明日、法廷で。
御: うム。明日、な。

成: あ、そうだ、御剣。
御: ム、何だ?
成: この事件が終わったら、イトノコ刑事の給与査定、少し上げてやれよ。
   なんか、少しヤセてたぞ。というかやつれてたな。せめて、ステーキ弁当おごってやる、とかさ。
御: そうだな…考えておこう。
成: それじゃ!
御: ああ。


                                                                 END



あとがき
 ハイ。蘇る逆転第5話、最後の法廷に向かう前の御剣と成歩堂。
 でも、話の内容は、イトノコ&御剣みたいな感じ。
 最近改めてプレイして、イトノコさんエライや。オトコだよ、あんた!と感動して書いてしまったものです。
 ただでも度重なる給与査定で薄給なはずなのに!なのに、御剣を信じているからこそ、クビを覚悟の行動ができたんでしょうね。それと、なるほどくんなら真相を明らかにしてくれる、と信じたからこそ、協力してくれたんでしょう。ニクめないキャラですよね、イトノコ刑事。
 でも、あんま報われてないですよね・・・

060612