my fair little lady


 −翌日−

 日が昇ってまだ間もない頃、いつきたち一行は身支度を整え、出立の用意をしていた。
 夏野菜の収穫の後は、田んぼの世話が忙しくなってくるので長居はしていられないのだ。

 こちらに来る時は野菜を山盛りに積んでいた荷車は、伊達軍からの土産の品々が乗せられている。
 まだ早い刻限だというのに、多くの兵士達がいつきたちの見送りに来ていた。

「今度は俺達がそっちに遊びに行くよ。」
「そうだな。収穫の時に来てくれると嬉しいな。」
「・・・労働力かよ。」
「(秋野菜にとれたての米は最高に合うだろうな)…いえ、政宗様。稲刈りは足腰の鍛錬にもなります。是非、手伝いに行きましょう。」
「さすが小十朗さん!話がわかるべ!!」
「イキの良いのを揃えて行こう。」
「わーい!助かるだ!」
 主君抜きで話を進めている2人を苦笑いを浮かべて見ている政宗。

「Hey、いつき。お前の好物って何だ?」
「え?そうだべなー。甘い物は大好きだ!」
「そうか。じゃあ今度、美味い菓子の作り方、教えてやるよ。」
「え?」
「何だよ。俺が教えるのは不満か?」
 ぶんぶんと勢い良くかぶりを振るいつき。
「なぁに、料理なんて少しコツさえ掴めばeasyだ。すぐに出来るようになるさ。」
「うん!おら、楽しみにしてるべ。ありがとな!政宗さ!」
 にっこりと笑ういつき。それを見ている農民たちも嬉しそうにしている。
 そうして一行は歩き出す。

「・・・元気でな。」
「また会おう。」
「おさむらいさん達もなー!!」
 別れの言葉が行き交い、共に手を振る。互いの姿が見えなくなるまで、それは続いていた。


 昇ったばかりの太陽が、朝靄の中、眠そうに顔を覗かせる。
 霧はやがて晴れるだろう。そして まばゆい光が、降り注ぐのだ。

                                                                 おわり



あとがき
 ホントに短いですね(汗)スイマセン。
 ようやく終わりました、伊達いつ。・・・こんなに長くする予定では無かったのですが、このやりとりも入れたい、小十朗ともほのぼのさせたい、と思ってたらいつの間にか・・・書いてて楽しかったですけどね☆
 ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

                                                            061009
≪おまけ・あとがき劇場≫ 〜戦国道珍道中・事始(ことはじめ)〜

いつき: あ。
農民A: どうしただ?いつきちゃん。
いつき: すまねぇ、おら、もうひとつ寄る所があっただよ。
農民B: それって、どこだか?
いつき: はだかんぼうのおさむらいさんトコだ!
農民A: ああ!あのキレーな嫁御さんがいた所だな。田んぼの事は気にせんでええだよ、行っといで。
いつき: すまねぇ、狩り入れどきまでには戻るだ。
農民C: いつきちゃんは最近一揆や何だでちっとも休んでねぇべ。しばらくゆっくりしてくるといいだよ。
いつき: みんな、ありがとうな!!じゃ、おら行ってくる!!
農民達: 気ぃつけてなー!!

つづく